千種の門治郎たまご
卵は、卵殻(殻)、卵殻膜(薄皮)、卵白(白身)、卵黄(黄身)からできています。
たまごの中身を保護する硬いカラは約94%が炭酸カルシウムでできています。表面には気孔と呼ばれる小さな穴がたくさん開いており、卵黄の胚(ひよこになる部分)はこの穴を通して呼吸します。新鮮なたまごは表面がざらざらしているものですが、このざらざらの正体は「クチクラ層」という薄い膜。たまごの内部への微生物の侵入を防ぐ働きをしています。
卵殻に密着した薄い膜。たまごの丸いほうの先端では卵殻から離れており、そこにできた空間は気室と呼ばれます。産卵直後のたまごにはほとんど見られない気室ですが、時間の経過とともに気孔を通して内部の水分が蒸発していくため、大きくなっていきます。
卵白は約89%が水分で、残りはたんぱく質でできています。濃厚卵白と水様卵白とがあり、たまごを割ったときに黄身のまわりにあるもりあがった部分が濃厚卵白です。卵黄とのつなぎめにある白いねじれたヒモ状のものは、カラザと呼ばれ、卵黄をハンモックのように吊り下げて、常に卵の中央に固定しておく役割を果たしています。生たまごを食べるときにこのカラザを取り除くことがあるようですが、カラザに含まれる「シアル酸」には抗ガン作用があるといわれており、そのまま食べることをおすすめします。
ラテブラ、胚、淡色卵黄層、濃色卵黄層、卵黄膜からなり、水分が約50%、残りは脂質やたんぱく質でできています。新鮮なたまごの卵黄膜ほど張りがあるので、割ってみると黄身がこんもりともりあがります。ラテブラは黄身のほぼ中央の部分にあり、加熱しても固まりにくいという性質があります。ゆでたまごを切ってみると黄身の真ん中にある、薄い黄色で固まりきっていない部分です。
たまごの殻の色が違うのは、たまごを産む鶏の種類が異なるためで、栄養や成分にはまったく違いはありません。日本では殻の色が白い白玉が主流ですが、ヨーロッパなどでは殻の色が茶色い赤玉がほとんど。 ちなみに、有精卵と無精卵も、栄養や成分には差は見られません。
殻がざらざらしているのが新しくつるつるなのは古い、と言われてきましたが、ほとんどのたまごがいったん洗ってから出荷されている現在では、あまり当てになりません。見た目で判断するなら、殻がなめらかで光沢があり、表面が汚れていないものを選びましょう。割った時に卵黄がこんもり盛り上がり、濃厚卵白がしっかりしていれば、新鮮なたまごだといえるでしょう。
たまごには、たんぱく質のほかに、ビタミンA、B1、B2、D、Eなどのビタミンが豊富に含まれています。また、鉄分はほうれん草の約2倍、カルシウムは牛乳の1.5倍と、ミネラル成分も充実! 肉や魚などほかのたんぱく食品にはみられないたまごの特長です。
コレステロールを健康の敵だと考えると、血中コレステロールは低いほどいいように思いますが、これは大問題。コレステロール値が低いと、抵抗力が落ちて肺炎や結核などの感染症にかかりやすくなり、血管壁が弱くなって脳卒中を起こしやすくなるといわれています。理想的な血中コレステロールは、血液100mlあたり180~220mg程度とされています。
70歳の日本人を対象にしたある研究では、血中コレステロールが195~214mg/dlのグループは5年後の生存率が75%だったのに対し、159mg/dl以下のグループは48%だったといいます。元気で長生きするためには、適度なコレステロールが不可欠だということですね。
体内のコレステロールのうち食べ物から摂取されるのは10%程度で、残りは主に肝臓で合成されます。肝臓は体内のコレステロール値が一定に保たれるようバランスをとってくれるので、食物から摂取したコレステロールがそのまま血中コレステロール値を上げることはないそうです。
さらに、たまごは余分なコレステロールを排泄させる働きのある「レシチン」や動脈壁へのコレステロール沈着を防ぐ不飽和脂肪酸が豊富に含まれており、たまごを1日に10個食べ続けてもコレステロール値は上昇しないという研究結果も出ています。
コレステロールは体に欠かせない栄養素であり、健康のためには欠かせないもの。コレステロールをコントロールする物質が含まれるたまごをおいしく食べて、積極的に取り入れたいですね。
「たまごを食べるとコレステロール値が上がる」という誤解のもとは、1910年のロシアの科学者による実験。ウサギにたまごを食べさせたところ血中コレステロールが上昇したため、たまごは血中コレステロールを上昇させると結論づけたのです。
しかし、この実験には大きな欠陥がありました。